インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
普通のキスならともかく、思いきりってどんだけ?

しかも私に触りたいって……!

急に触られるのもビックリするだろうけど、予告というか宣言されても『OK!カモーン!』とも言いづらいし、こんな切なそうな顔をされると、『残念でした、またどうぞ』とも断りづらい。

「ダメ?」

「ダメって言うか……」

きっと尚史に触られるのは、絶対にイヤとか気持ち悪いとは思わないだろうけど、これから何をされるのかと思うとめちゃめちゃ恥ずかしい。

どうしようかと迷って口ごもると、尚史がため息をついた。

「……やっぱいいや。モモがいやがることはしないって約束したもんな」

「イヤじゃないけど……」

「無理しなくていいよ」

尚史は小さくため息をついて私の上から隣にゴロリと寝転がり、呆れた顔をしつつも、いつものように優しく頭を撫でてくれた。

「ホントしょうがねぇなあ、モモは……」

尚史の手は大きくてあたたかくて優しい。

尚史はこの手で、どんな風に私に触れるのだろう?

この手に触れられたら、私はどんな気持ちになるのだろう?

そんな思いが頭をよぎって、尚史の腕をギュッとつかんだ。

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