インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史の手が私の下着の中に入ろうとしたその瞬間、コンコンと高らかにドアをノックする音がした。

驚いた私たちは体を跳ね上がらせ、あわてて離れる。

「尚史、モモちゃん、起きてる?もう9時よ。朝ごはんできてるから、そろそろ下りてらっしゃい」

「あー……すぐ下りる」

洋子ママの声で一瞬にしてクールダウンした尚史は、ばつの悪そうな顔をして頭をかいた。

「これだから実家暮らしはな……」

「……私たちがあんなことしてたの、バレてないかな?」

「デカイ声出してたわけじゃないし、大丈夫だろ。でもあぶなかった……。ちょっとだけって言ったのに、完全に抑えきかなくなってたし」

さっきまでの尚史の余裕のない表情とか、私に触れる手つきを思い出すだけで頭に血が昇って、恥ずかしくて真っ赤になった顔を掛け布団で隠した。

「……尚史、めちゃくちゃやらしかった……」

「そりゃあ男だから。モモに触りたいのずっと我慢してたし、やっぱ好きだしな。惜しいとこだったけど、とりあえず着替えて飯食うか」

尚史はベッドから起き上がり、クローゼットを開けて着替え始めた。

私も布団にくるまって火照った体を隠し、ベッドの横に置いていたバッグから洋服を引っ張り出す。

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