インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
うれしはずかし日曜日、開き直った新妻はご近所で愛を叫ぶ~そうだ、不動産屋へ行こう~
少し遅めの朝食を済ませたあと、新居探しをするために駅前に向かった。

ゆうべ尚史がネットで調べているときに、駅前にある不動産屋のサイトで良さそうな物件を見つけたそうだ。

「築浅で家賃も広さも手頃な物件がいくつかあったから、実際に見てみたいなと思ってさ。まぁ、モモは酔っぱらって全然見てなかっただろうけどな」

「それはもう言わないで」

ゆうべのことを言われると耳が痛い。

酔ってまったく記憶がないからなおさらだ。

「まぁ……昨日のアレは行き過ぎだけど、たまにはモモの方から迫ってくれると俺は嬉しい」

「やめてよもう……。そんなの恥ずかしいからやだ。シラフじゃ絶対無理」

「でも今朝はシラフでもキスしてくれたじゃん。モモめちゃくちゃ可愛かったし、やっと少しモモに触れて、俺はすっげぇ嬉しかった」

白昼の往来でそんなことを言わないで欲しい。

今朝の話をされると、余裕なさげな尚史の表情や息遣い、そして私の肌に触れた柔らかい唇や湿った舌、大きな手の感触がリアルに蘇り、体の奥がウズウズしてしまう。

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