インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「これからいろいろと楽しみね。今日は夫婦そろってお出かけなの?」

「この間入籍だけ済ませたんですけど、じつはまだ新居が決まってなくて、これから新居を探しに行くところなんです」

「あらそうなの?引き留めてごめんなさいね。素敵な新居が見つかるといいわね」

「ありがとうございます」

軽く会釈をしてオバチャンと別れ、少し歩いたところで、尚史は私の手をギュッと握って小さな笑い声をあげた。

「どうかした?」

「いや……さっきまで恥ずかしいって言ってたのに、すごい変わりようだなって」

「こそこそ隠れるのもかえって怪しいし、『私たちは新婚ですよ!』って開き直るしかないでしょ?」

「たしかにな。それにしても、モモって男の俺よりイケメンなんだなぁ」

なぜだかわからないけど、イケメンが私をイケメンだと言っている。

世間の人たちは、あなたをイケメンと呼んでいるけど?

「私のどこが?」

「無自覚か。俺が無駄に空回って、あーでもないこーでもないって悩んでたら、モモはいつも思ったことをストレートに言ってくれるじゃん。俺なんか昔からずっとモモのこと好きだったのに、避けられたり嫌われたりするのが怖くて、大人になっても好きだって言えなかった。幼馴染みのままなら俺とずっと一緒にいてくれるのかなぁって」

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