インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史の気持ちはなんとなくわかった。

私も同じように、お互いに誰かと結婚しても、いくつになっても、幼馴染みの尚史とずっと一緒にいたいと思っていたから。

だけど尚史だから一緒にいたいと思うんだとか、私だけを好きでいて欲しいと思うようになって、私は尚史を好きなんだと自覚した。

それと同時に不安とか猜疑心とか、ただの幼馴染みに対しては抱かないような感情が私の中にいくつも芽生えた。

人を好きになるとただ楽しいだけじゃなくて、どうしようもなく胸が痛くなって、だけど好きな人が笑ってくれるとものすごく嬉しいんだって、尚史が教えてくれたんだ。

この先もずっと、いつも尚史と一緒に笑えたら、それが何より幸せだと今は思う。

「私は恋愛経験も女子力も、ついでに言うと色気もないし、駆け引きとか上手にできないけど……尚史に悲しい思いをさせたくないって……ずっと一緒に、笑って歳を取っていけたら幸せだなって思ってるよ。……好きだから」

「俺も今は、幼馴染みだから一緒にいるんじゃなくて、夫として一生モモのそばにいたいし、モモのこと世界一幸せにしたいって思ってる。愛してるから」

イケメン過ぎる尚史の言葉は、どうしようもないほど甘くて優しくて、胸の奥がキュンキュンうずく。

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