インスタント マリッジ～取り急ぎ結婚ということで～

「お兄さんだけじゃなくて、妹の谷口さんも呼んだ方がいいのかな？仲いいんでしょ？」

「どうだろう？普通に仲はいいけど、結婚式に呼びたいほどかって言われたらそうでもない気がするし。モモが気になるなら、本人に『来る？』って聞いて、『行く』って言ったら来てもらえば？」

「なるほどね、来るかどうかは本人に任せるんだ。それもアリかなぁ……」

声をかけるのはいいけど、まさか結婚式に来て、私と尚史が早く離婚しますようにとか、神様にお願いしたりしないよね？

それともタキシードでイケメン度200%超の尚史にうっとりして、その横で馬子にも衣裳のウエディングドレス姿をさらす七五三みたいな私を見て鼻で笑うとか……。

いや、そこまでいくと被害妄想か。

今時のキラキラ女子のわりに中身は体育会系な谷口さんが、そんな根性悪だとは思えない。

「じゃあ明日、キヨの店にちょっと寄ってみるか」

「うん……。だったら尚史の方からそれとなく声かけてくれる？」

「わかった。そういえば……モモの友達でエレクトーン弾ける人いる？」

エレクトーンを弾ける友達には心当たりがない。

というか、私にはそんなにたくさんの友達がいないから、そんなに都合よく見つかる気がしない。