インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
ヲタはヲタを呼ぶ?昨日の恋敵は今日の同志~流れ星に集い愛を語ろう~
月曜日の仕事が終わってから、尚史と一緒にキヨの店に足を運んだ。

キヨの店に来るのは仮想カップルをやってみろと言われて以来だ。

キヨはニコニコ笑いながら、カウンター席に座った私たちの前におしぼりとビールと枝豆を置く。

「久しぶりだな、モモっち。久しぶり過ぎてモモっちの顔忘れそうだったぞ」

「仮想カップルが終わるまでは来るなって、キヨが言ったんでしょ?そのあとはいろいろあって来られなかったし」

おしぼりで手を拭きながらそう言うと、キヨは軽く首をかしげる。

まさか自分で言ったことを覚えていないんだろうか?

「俺、そんなこと言ってないけど?」

「え?でも尚史が……」

「尚史はしょっちゅう来てたぞ?」

二人して尚史の方を見ると、尚史は私たちから目をそらして、ビールを飲みながらネクタイをゆるめた。

これは何かを隠している顔だ。

「尚史、キヨから仮想カップル終わるまで出禁食らったって言ったよね?」

「あー……ごめん、あれ嘘だ。モモをここに近付けないようにそう言った」

「私をここに近付けないようにって……なんで?」

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