インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
少しでも尚史に触れられると恥ずかしいと思っていたのが嘘みたいに、今は私から尚史に触れたいと思う。

人を好きになるって、本当に不思議だ。

「喉渇いた。コーラ飲みたい」

尚史が唐突に呟いた。

ついさっきまでビールを飲んでいたんだから、そんなに喉が渇いているとは思えない。

だけどもう少し一緒にいる口実にするにはじゅうぶんだ。

「じゃあ公園行こう、私もちょうどミルクティー飲みたいなと思ってたんだ」

「おー、コーラはモモのおごりだからな」

「はいはい、喜んで」

もしかしたら尚史も私と同じように、もう少し一緒にいたいと思ってくれているのかな。

そんなことを考えながら公園に向かった。

自販機でコーラとミルクティーを買って、肩を寄せあいベンチに座る。

いつの間にか私たちは、幼馴染みの頃の少し離れた間隔ではなく、恋人同士の近い距離感で隣にいる。

もう恋人ではなく夫婦だから、もっとくっついてもいいかな。

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