インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「……だよね、私もいきなりそんなのできる気がしないもん。尚史がいいならそうする」

私のことをちゃんとわかっている尚史が夫で、本当に良かった。

新居に引っ越せば実家より駅が少し近くなるし、尚史と一緒に通勤できるのだと思うと、仕事に行くのも楽しくなりそうだ。

できるだけ早く新しい生活にも料理を作ることにも慣れて、平日の朝でも朝食を用意できるようになりたい。


キヨの店に着いてドアを開けると、谷口さんをはじめとした常連のゲーム仲間でにぎわっていた。

まるで金曜の夜のようだ。

「今日は土曜日なのにどうしたの?まさかみんな仕事帰り……ってことはないよね?」

「中には仕事帰りのやつもいるけどな。今日はみんな、尚史とモモのために集まったんだ」

私たちのためにわざわざ休日に集まるなんて、一体どういう風の吹きまわしだろう?

私は仮想カップルを始めてからしばらく店に来ていなかったし、尚史と結婚してからは忙しくてあまり参加していないけど、いつもみんなとプレイしているゲームで、絶対に参加しておくべきイベントでもあったのかな?

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