インスタント マリッジ～取り急ぎ結婚ということで～

私と尚史が席に着くとキヨがビールを運んできて、グラスに注いでくれた。

みんなもそれぞれグラスにビールを注いでいる。

全員にビールが行き渡ると、キヨが私たちの方を向いて高々とグラスを掲げた。

「尚史、モモっち、結婚おめでとう！幸せになれよ！乾杯!!」

「乾杯!!おめでとう！」

キヨの音頭で乾杯をしてグラスを置こうとしたとき、みんなが隠し持っていたクラッカーを派手に鳴らした。

私はその音の大きさに驚いて、あやうく口の中のビールを吹き出しそうになったけれど、なんとかこらえて必死で喉に流し込んだ。

キヨはそんな私の様子を見ておかしそうに笑う。

「悪いな、ビックリさせ過ぎたか？」

「あぶなかった……。いきなり大惨事になるとこだったよ……」

「ごめんって。ほら、気を取り直して、目一杯飲んで食え！」

「ありがとう、お腹空いてたんだ。それじゃあ遠慮なくいただきます！」

みんなと話しながらキヨの手料理を頬張ってお酒を飲んだ。

どんなこじゃれた店に行くより、やっぱりこの店が一番落ち着くし、みんなとワイワイやっているのがとても楽しい。