インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史は料理を食べながら、目一杯楽しんでいる私の様子を窺って首をかしげた。

「モモ、楽しい?」

「うん、すごく楽しいよ」

私が笑って答えると、尚史は少し肩を落とした。

「どうしたの?」

「……俺とデートしたときより楽しそう」

こんなときにネガティブ勃発?

せっかくみんなが祝ってくれているのに、うまくフォローしておかないと申し訳ない。

「別に尚史とのデートが楽しくなかったわけじゃなくて、オシャレな店だったから緊張してたの。でもここだと気負わずに食事も会話も楽しめるから。私は尚史と一緒にこの店に来るのが一番楽しいよ」

「ホントに?俺と一緒にいるの楽しい?」

こういうときの尚史は、子どもの頃とあまり変わっていないような気がする。

子どもの頃の面影が残るその表情を見て、昔のことを思い出した。

小学校の低学年の頃に尚史がゲームをし始めたのがきっかけで、私も一緒にゲームをするようになった。

その頃尚史がハマっていたのは、縦スクロールのシューティングゲームだった。

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