インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私は最初のうちはうまく操作できなくてミスばかりしていたけれどとても楽しかったし、うまくなりたい一心で女の子の友達の誘いを断り、毎日学校から帰ると尚史の家に行って一緒にゲームをした。

尚史は何度もミスをしてゲームオーバーになる私を申し訳なさそうに見て、『モモ、俺とゲームしててホントに楽しい?』と尋ねた。

そのときたしか、『尚史と一緒にゲームするの、すごく楽しいよ。もう一回やろう、今度は絶対にクリアするから!』と答えた記憶がある。

尚史はヘタな私に、敵の攻撃を回避しながらダメージを与えるコツを教えてくれて、今度こそクリアできるように協力プレイモードでやってみようと言った。

だけど私はやっぱりヘタクソで、尚史が敵の攻撃をかわして私を守りながら攻撃をしてくれたから勝てたのだと思う。

それでも私は、初めてボスを倒して最後のステージをクリアできたことが嬉しかった。

大喜びする私を見て、尚史も嬉しそうに笑っていた。

今思えば、尚史はきっとあの頃から私のことを一番に考えてくれていたんだろう。

私は20年近くも前から、尚史に守られて大事にされてきたんだな。

そんな尚史と一緒になったのだと思うと感慨深いものがある。

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