インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私は尚史の手をつかみ、テーブルの下でギュッと握りしめた。

「前にも言ったでしょ?私が楽しいと思うから尚史と一緒にいるんだって。それは昔も今も変わらないよ」

私がそう言うと、尚史は柔らかい笑みを浮かべた。

「うん、そっか……。それならいいんだ」

ヒソヒソと話す私たちを見て、キヨがニヤニヤ笑っている。

いや、キヨだけでなく谷口さんもみんなもニヤニヤしている。

「やっぱりお二人は仲良しですねぇ……。良き良き、幼馴染みの純愛は萌えます!世界一尊いです!」

谷口さんはうっとりしながらそう言って、私たちのグラスにビールを注いでくれた。

「谷口さん、もう酔ってるの?」

「まだ全然酔ってませんよ!って言うか、谷口さんじゃなくてリナっちです!」

「おお、リナっち……面目ない……」

どうやら谷口さんは、この『リナっち』という呼び名がかなり気に入っているようだ。

だったら私も照れずに『リナっち』と呼んであげようと思う。

「ところでリナっち、今日は兄者は来ないの?姿が見えないけど」

「兄は一昨日から広島へ出張に行ってるんですよ。今日帰ってくるので、帰り次第駆け付けるそうです。もう少ししたら来ると思いますよ」

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