インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「ヒサと結婚したからっていい気になってんじゃないよ、このブス!私の方がずっと前からヒサのこと好きだったんだからね!あんたみたいなブスはヒサには釣り合わないのよ!」

なるほど、これが本音か。

ブスで悪かったな。

自分がなんの取り柄もないことも、美人じゃないことも、私自身が一番よくわかってるっちゅうの。

こんな小学生レベルの悪口なんて痛くもかゆくもない。

片腹痛いわ。

「水野、いい加減にしろよ。俺のことは何言われても仕方ないけど、これ以上モモのことを悪く言うのだけは許さない」

ずっと黙っていた尚史がようやく口を開いた。

女同士の闘いに怯んでしまって言葉も出ないのかと思っていたのに、私が『ブス』と言われたことは許せなかったらしい。

水野さんは悲しそうな顔をして尚史を見つめている。

尚史のこの言葉には相当なダメージを食らったようだ。

だけどここで大人しく引き下がるほど甘い私じゃない。

私の敵は私の手でトドメを刺す。

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