インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
10時半頃にパーティーはお開きとなった。

店に残ってお酒を飲みながらゲームをする人たちもいたけれど、翌日に引っ越しを控えた私と尚史はみんなにお礼を言って、そこでお暇することにした。

キヨの店からの帰り道、尚史はずっと黙ったままで、手を繋ごうともしなかった。

水野さんにかつての関係を暴露されたことで、相当のダメージを受けているらしい。

電車を降りて家に向かって歩き始めたとき、私は尚史の手をギュッとつかんだ。

「尚史、手くらい繋ごうよ」

私がそう言うと、尚史は力なくうなずいて私の手を握った。

その手はまるで壊れ物に触れるかのように、いつもより弱々しかった。

「パーティー、楽しかったね」

「……楽しかった?ホントに?」

「まさかみんながあんな風に祝ってくれるとは思ってなかったから、ビックリしたけどね。すごく嬉しかったよ。キヨの料理も美味しくて、つい食べ過ぎちゃった。ダイエットした方がいいかな?」

「うん……そっか。でもモモにはダイエットなんて必要ない。太ろうが痩せようが、モモは宇宙一可愛い」

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