インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私が水野さんに『ブス』と言われたことを、まだ気にしているのかな?
尚史から『可愛い』と言われるのは嬉しいけれど、『宇宙一』はいくらなんでも言い過ぎだ。
「尚史は面食いじゃないんだね」
「……なんで?」
「私なんかよりずっときれいな人に『付き合おう』って何度も言われてたのに、断ったんでしょ?」
私の言葉に尚史は黙り込んでしまい、何かを考えているようだ。
酔いも手伝って、余計なことを言ってしまった自覚はある。
尚史には『何も気にしなくていい』と言うつもりだったのに、本当は私自身が気にしていたのかも知れない。
そのまま黙って歩き、私の家の前にたどり着いた。
尚史は私の手からゆっくりと手を離して、うつむいたまま「ごめん」と言った。
『何も気にしなくていい』と言おうと思っていたのに、どういうわけか私の口からは、その一言がどうしても出てこない。
その代わりに、自分でも驚くほど冷たい声で、別の言葉が発せられた。
「尚史に経験がないとは思ってなかったし、過去なんてどうでもいいって言うのは本心だよ。でもやっぱり……あの人のことが好きで付き合ってたなら体の関係があっても当然だと思うけど、私のこと好きでも別の人とできちゃうんだなって、ちょっとショックだったな」
尚史から『可愛い』と言われるのは嬉しいけれど、『宇宙一』はいくらなんでも言い過ぎだ。
「尚史は面食いじゃないんだね」
「……なんで?」
「私なんかよりずっときれいな人に『付き合おう』って何度も言われてたのに、断ったんでしょ?」
私の言葉に尚史は黙り込んでしまい、何かを考えているようだ。
酔いも手伝って、余計なことを言ってしまった自覚はある。
尚史には『何も気にしなくていい』と言うつもりだったのに、本当は私自身が気にしていたのかも知れない。
そのまま黙って歩き、私の家の前にたどり着いた。
尚史は私の手からゆっくりと手を離して、うつむいたまま「ごめん」と言った。
『何も気にしなくていい』と言おうと思っていたのに、どういうわけか私の口からは、その一言がどうしても出てこない。
その代わりに、自分でも驚くほど冷たい声で、別の言葉が発せられた。
「尚史に経験がないとは思ってなかったし、過去なんてどうでもいいって言うのは本心だよ。でもやっぱり……あの人のことが好きで付き合ってたなら体の関係があっても当然だと思うけど、私のこと好きでも別の人とできちゃうんだなって、ちょっとショックだったな」