インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
苦悶の表情を浮かべる私のことがかわいそうになったのか、尚史は少し困った顔をして、私の中に入りかけたそれを引き抜こうとした。

私はあわてて腕を伸ばし、尚史の背中を強く抱きしめる。

「やだ……やめないで」

「でも、それだとモモが……」

「大丈夫だから……もっと私を尚史でいっぱいにして」

尚史を抱きしめながら耳元でそう言うと、尚史は私を強く抱きしめて、大きなため息をついた。

「だから……そういうのヤバイって。一体どこでそんなエロい言葉覚えたんだよ……」

どこで覚えたのかと聞かれても、そんなの私にもわからない。

もしかして前に読んだことのある漫画の中の台詞なのかな?

でもどの辺がエロかったんだろう?

「今の、エロかったの……?」

「少なくとも俺にとっては最高にエロかった。こんな煽り方されたら、マジでもうやめてあげられないから」

「わかった。せっかくここまで来たんだから、ひと思いにやっちゃって」

私が大真面目にそう言うと、尚史は何度か瞬きをしてから肩を震わせ、プッと吹き出した。

「なんだよそれ、今のは色気ねぇなぁ……」

< 604 / 732 >

この作品をシェア

pagetop