インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
中途半端に体を繋げたこんな状況で、よくそんなことが言えるものだ。

その色気のない私に欲情していたくせに。

「……もっとやらしくした方がいい?」

「いや、そのままでいい。俺はそのままのモモが好き。だから……続き、してもいい?」

「うん……して」

尚史はゆっくりと腰を動かして、じわじわと私の中を押し広げながら奥まで入り込んだ。

これまで誰も招き入れたことのない私の中の空洞が尚史によって満たされ、尚史の形に変えられていく。

「モモ、奥まで入ったの、わかる?」

痛みに耐えながら固く閉じていたまぶたを少し開いてうなずくと、尚史は私の頭を撫でながら、頬や額、唇に軽く触れるだけのキスをした。

「痛い?」

「うん……」

「今俺が動くと、モモはきっともっと痛いよな?痛みが少しおさまるまで、このままじっとしといた方がいいのかな?」

じっとしていれば痛みがおさまるのか、どれくらいそうしていればいいのかなんて私にはわからないけれど、心配そうに私の顔を覗き込む尚史を見ると、愛しくてたまらなくなる。

「大丈夫だから……続けて」

「でも……」

「私……もっと尚史のこと感じたいし、尚史にももっと私を感じて欲しい」

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