インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私はいまさらながら裸で抱き合っていることに気付き、恥ずかしさのあまり真っ赤になった顔を両手で覆う。

「え……あ……それはかたじけない……」

どうやら私は、尚史の欲情を無意識に煽っていたらしい。

ついさっき果てたばかりのはずなのに、私の言葉ひとつであっという間にこんなになってしまうなんて、尚史はどんだけ私のことが好きなんだ!

……っていうか、思春期真っ只中の中高生男子並みに性欲旺盛か!

やっとのことで初めての営みを終えたところなのに、あんなのがまた始まってしまっては私の身がもたない。

「無事に仲直りもしたことだし……それに明日は仕事だし、とりあえず今夜はもう寝よう。ね?」

あわてて起き上がりパジャマを着ようとすると、尚史は私の腕をつかんで体を引き寄せ、ギュッと抱きしめる。

「今夜はこのまま寝たい」

「えっ?!裸で寝るの?」

「モモを抱いたあと、二人とも裸のままで抱き合って寝るのが夢だったから」

さては尚史め、私を丸裸にして抱き潰して、二人とも力尽きて朝まで眠るというシミュレーションを、脳内で何度も繰り返していたのだな?

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