インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「で、これは行ってらっしゃいのキス」

朝からなんちゅう激甘……!

いくら新婚でも、これは甘過ぎる……!

もしかして毎朝これを続けるつもりなのか?

「尚史って、じつはものすごくロマンチスト?」

「全然。でもしたいものはしたいから、帰ったらまた抱きしめてめっちゃキスして撫で回す所存」

「……早よ出ろ、遅刻する」

ようやく玄関を出て鍵を掛けると、お隣のご主人が奥さんに見送られて家を出るところだった。

背が高くて人懐こい笑顔のイケメンご主人と、モデルさんか女優さんみたいにスタイルの良い美人奥さんだ。

奥さんはふっくらしたお腹を優しい手付きで撫でながら、ニコッと笑って私たちに会釈をした。

「おはようございます。昨日こちらに越してきました中森です。よろしくお願いします」

尚史が挨拶をして、私も「よろしくお願いします」と一緒に頭を下げる。

「伊藤です、こちらこそよろしくお願いします」

挨拶をするご主人の後ろから奥さんがヒョコッと顔を出して、私たちを交互に見た。

「もしかして新婚さん?」

奥さんはどうやら関西の人らしい。

美しい容姿と関西なまりのギャップに萌える。

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