インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「はい、先日入籍したばかりです」

「うちも去年の暮れに結婚して、もうすぐ子どもが生まれるんよ。仲良くしてね」

「ぜひ!」

お隣が優しそうな上に素敵なご夫婦で良かった!

これから始まる新居での結婚生活が俄然楽しみになってくる。

尚史は私の肩を指先でトントンと叩いて、私にチラッと腕時計を見せた。

「モモ、そろそろ行かないと電車に乗り遅れるよ」

「あっ……そうだった」

この美しい奥さんともっとお話していたいのはやまやまだけど、私たちはこれから出勤しなければならない。

「すみません、これから出勤なのでこの辺で……また改めて引っ越しのご挨拶に伺いますね」

「こっちこそ朝の忙しいときに引き留めてごめんね。遠慮せんといつでも遊びに来て」

「ありがとうございます!」

私と尚史は伊藤夫妻に頭を下げて、急いでマンションを出た。

いつもより少し早足で、駅までの道のりを尚史と一緒に歩く。

「お隣、優しそうな人で良かったね」

「もうすぐ子どもが生まれるって言ってたな」

「すっごい美形の赤ちゃんが生まれそう」

「俺とモモの子も絶対に可愛いと思うぞ?なんたってモモが超絶可愛いからな」

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