インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
よそのどんな美形な子より、自分たちの子どもが一番可愛いと思う親心はわからなくもないけれど、世界中どこを探したって、私のことをこれほどまでに可愛いと言うのは尚史だけだ。

尚史の目はやっぱりおかしいんじゃなかろうか?

「尚史、コンタクト入れ忘れたの?」

「ちゃんと入れたけど?」

「だったら度が合ってないんじゃない?私の顔、ホントは見えてないでしょ?」

「ちゃんと合ってるしハッキリ見えてる。モモは宇宙一可愛い」

ダメだこりゃ、まるっきりバカになってる。

こんな会話を人様に聞かれたら『寝言は寝て言え!』と野次られて石を投げられそうだ。

もうこの辺で黙らせておこう。

「尚史、お口チャック」

「なんで?」

「そういう話は二人きりのときにする約束だったでしょ?帰ったらいくらでも言ってくれていいから、外では勘弁して」

「そう言われてみればそうだったな。じゃあ帰ったらめっちゃ言う」

「はいはい、そうして」

尚史の溺愛ぶりに呆れつつも、バカになるほど私を愛してくれていることが嬉しいと思う。

たまには私も尚史をべた褒めしてみようか。

でもそれは新居に帰って二人きりになってからにしよう。


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