インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
駅に着いてなんとか遅れることなく電車に乗り、今日の晩御飯はどうしようかとか、たまにはお昼も一緒に食べようかなどと、他愛ない話をしながら会社に向かった。

電車を降りて会社に向かって歩いていると、尚史が「そういえば」と呟いた。

「今週末は結婚式だし、そろそろ細かい打ち合わせしに病院に行かないとな。衣装は当日の朝に店のスタッフが病院に持ってきて着付けてくれるって」

「エレクトーンお願いしてるし、リナっちとも打ち合わせしないとね」

「それと引っ越しの挨拶も早めに行っとかないと。ネットで調べたら、ラップとかお高いティッシュとか、好みの別れにくい消耗品を持って行くのがいいらしい」

「じゃあそれも買いに行かないとね」

結婚式の打ち合わせや引っ越しの挨拶、それから諸々の手続きもしなければならないし、土曜日には結婚式が控えている。

今週は忙しくなりそうだ。

「それで……パーティーのあと俺たちがどうなったのか、キヨが心配してると思うんだ。今日の仕事が終わったら引っ越しの挨拶に持ってくもの買って、そのあとキヨの店に晩飯食いに行こうか」

キヨは昔からずっと私たちと仲良くしてきたし、尚史から水野さんのことを相談されて知っていたようだから、余計に心配しているだろう。

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