インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
いや、尚史を見守るだけじゃなくて私も頑張らないと。

「俺がもしキヨよりうまくオムライス作れるようになったら、ご褒美くれる?」

「ご褒美って?」

「うーん、そうさな……制服デートとかしてみたい」

ご褒美がまさかのコスプレ?!

しかも制服って……!

尚史にそんな性癖があったとは!

制服萌えならまだしも、無類のJK好きなんてことはないよね?

「なんで制服……?私たちもう27だよ?」

「高校時代、放課後に制服でモモとデートするのが夢だったんだ。叶わなかったけどな」

尚史は夢見る女子みたいに目をキラキラさせている。

中学生のときはよく他の友達も一緒に下校したけれど、高校は別々だったから、放課後にわざわざ待ち合わせて出掛けるようなこともなかった。

同じ高校に通っていたら、一緒に登下校をしたり、帰りに寄り道をして遊んだり、もしかしたら付き合っていたりもしたのかな。

「でも私、高校の制服なんかもう持ってないよ。尚史は持ってるの?」

「あ、そう言えば持ってない。じゃあ制服じゃなくていいや」

それはもはや普通のデートなのでは?

自分も制服を持っていないのに制服デートを提案するなんて、尚史はちょっと抜けていると思う。

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