インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「俺は毎日でも食える。モモは俺の大好物だから」

どうやら尚史の頭の中は、私を食うことでいっぱいになっているらしい。

一体どんだけ腹ペコなんだ?

食べ盛りの少年並みか!

「とにかく……お風呂は普通に入らせて」

「遠慮しなくていいのに」

「いや、むしろおぬしが遠慮したまえ」

「夫婦間に遠慮はナシ!というわけで拙者、今宵も遠慮なくモモを食らう所存。ささ、湯殿へ参ろう」

「バカー!!なんでそうなるのー?!」

結局私は有無を言わさずお風呂に連れ込まれ、頭のてっぺんからつま先まで入念に丸洗いされて、柔らかいバスタオルで水気を丁寧に拭かれたあとは、ベッドで全身くまなく愛でられ、余すことなく食された。

尚史は営みが済んでぐったりしている私を抱きしめ、頬や唇に何度もキスをして、「モモ可愛い」「愛してる」を連発しながら私の頭を撫でまわした。

愛する人に身も心も愛され求められていることはもちろん嬉しいと思う。

しかし尚史の愛情は、私が思っていた以上に甘くて激しい。

この愛に応えるには、かなりの覚悟が必要だろう。

新婚生活は体力勝負だ。


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