インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
トラブル発生!どうなる結婚式?!~緊急事態でも妻を愛でる夫は愛の化身~
火曜日の朝、尚史と二人で電車を降りて会社に向かって歩いているときに、招待した友人たちに引菓子のような形で手土産を持ち帰ってもらおうかという話になり、昼休みに『アンバー』で一緒に日替わりランチを食べながら相談して、近所のケーキ屋さんのバウムクーヘンを注文することにした。

そのケーキ屋さんのバウムクーヘンは私たちも子どもの頃から馴染みのある大好きな商品で、しっとりした生地の優しい甘さとまわりにかかったチョコのほろ苦さのバランスが絶妙で、地元ではとても美味しいと評判がいい。

みんなもきっと喜んでくれるだろう。

食事を済ませて店を出たあと、ビルのロビーで早速ケーキ屋さんに電話して、親族の世帯数と招待客の人数分のバウムクーヘン、そして病院へのお礼に渡すマドレーヌとフィナンシェの詰め合わせの数量が一番多いものを5箱、金曜日の夜の受け取りで注文した。

その日の仕事が終わって帰宅したあとは、近所に引っ越しの挨拶をしてまわった。

挨拶に行ったのは同じフロアの5件と、私たちの部屋の上と下の階の2件、それからすぐ近所に住んでいる大屋さん、合わせて8件。

ほとんどのお宅が小さな子どものいる若いご夫婦で、歳が近いこともあるのか、こちらの挨拶に快く応じてくれた。

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