インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
何?ゲームはしないだと……?!

人生の99パーセントをゲームに捧げていると言っても過言ではないほどのゲーヲタの尚史が、自ら『ゲームをしない』と言うなんてあり得ない。

鬼ゲーマーの尚史らしからぬ発言に驚いた私は、思わず尚史の顔を覗き込んだ。

「尚史、大丈夫?熱でもあるんじゃないの?」

「熱なんかないけど」

「だってゲームしない尚史なんて冒険しない勇者と同じだよ?」

「まったくしないとは言ってない。『外では』って言っただろ?ゲームは飯食って帰ってからモモと一緒にする」

「あー、そっか。そういうことね」

尚史にはなんの得もないはずなのに、大好きなゲームを我慢してまで私に協力してくれるなんて、一体どういう風の吹きまわしなんだろう?

考えられるとすれば、ひそかに片想いしている女の子に告白しようと思っているけど、もし付き合うことになったとしてもどうすればいいかわからないから私で予習しておきたいとか?

それともまさか、尚史はそこまでして守りたいほど八坂さんが好き……?

それは俗に言うBのL的なやつ……。

だったら、これまでの尚史の恋愛遍歴を考えるとうなずけなくもない。

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