インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
両親が迎えに来るまでに二人とも大急ぎで身支度を済ませ、買い置きのパンを牛乳で胃に流し込み朝食を取ることもできた。
時計の針はもうすぐ11時半を指そうとしている。
結婚式の日の朝がこんなにバタバタになるなんて思ってもみなかったけれど、なんとか無事に間に合いそうだ。
「そろそろモモの両親が迎えに来る頃だな。行こうか」
「そうだね」
戸締まりを確認して玄関に向かう途中で、尚史が「あっ!」と大きな声をあげ、あわてて部屋に戻った。
尚史はタンスの一番上の段の引き出しを開けている。
「どうしたの?忘れ物?」
「あっぶねぇ……めちゃくちゃ大事なもん忘れるとこだった」
「めちゃくちゃ大事なもん?」
「結婚指輪だよ。これ忘れたらシャレにならん、指輪の交換ができないからな」
そうだ、結婚指輪は結婚式での指輪の交換までは大事に取っておこうとしまっていたんだった。
「尚史が気付いてくれて良かったよ……。私は指輪のことなんてまったく頭になかった」
「だろうな。俺もさっきまでは完全に忘れ去ってた」
そう言って尚史は結婚指輪の入った箱を私のバッグに押し込んだ。
時計の針はもうすぐ11時半を指そうとしている。
結婚式の日の朝がこんなにバタバタになるなんて思ってもみなかったけれど、なんとか無事に間に合いそうだ。
「そろそろモモの両親が迎えに来る頃だな。行こうか」
「そうだね」
戸締まりを確認して玄関に向かう途中で、尚史が「あっ!」と大きな声をあげ、あわてて部屋に戻った。
尚史はタンスの一番上の段の引き出しを開けている。
「どうしたの?忘れ物?」
「あっぶねぇ……めちゃくちゃ大事なもん忘れるとこだった」
「めちゃくちゃ大事なもん?」
「結婚指輪だよ。これ忘れたらシャレにならん、指輪の交換ができないからな」
そうだ、結婚指輪は結婚式での指輪の交換までは大事に取っておこうとしまっていたんだった。
「尚史が気付いてくれて良かったよ……。私は指輪のことなんてまったく頭になかった」
「だろうな。俺もさっきまでは完全に忘れ去ってた」
そう言って尚史は結婚指輪の入った箱を私のバッグに押し込んだ。