インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「モモ、最近BL漫画にハマっただろ……」

「うん。あっ、私その辺には理解ある方だし否定するつもりはないから、心配しないで」

「そうか。しかし残念ながら俺は正真正銘、100パーセント混じりっけなしのノンケだ」

「あれ?違うの?だったらやっぱり好きな女の子とうまく付き合えるようになるための予習的なやつ?」

今度こそ当たりだと思ったのに、尚史はうなだれたままでまた大きなため息をついて首を横に振った。

これも違うとなると協力してくれる理由はなんなんだ?

「モモは漫画の読みすぎで頭おかしくなったんじゃないのか?」

「おかしくはなってないけど……じゃあなんで?」

「俺はただ、モモがまた怖い思いをしなくて済めばいいなと思っただけ。それに俺も光子ばあちゃんには可愛がってもらったしな。モモが光子ばあちゃんを喜ばせたいって気持ちもわかるから」

伯父さんの家の改装中に光子おばあちゃんが私の家で暮らしていた頃も、尚史は毎日のようにうちに遊びに来ていた。

尚史の両親はどちらも早くに母親を亡くしていて、尚史にとっては「おばあちゃん」と呼べる人がいなかったから、光子おばあちゃんが可愛がってくれたのが余計に嬉しかったんだと思う。

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