インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
小学校に上がって間もないうちに手も繋がなくなったし、いつの頃からか私は『ひーくん』と呼ぶのが恥ずかしくなり『尚史』と呼ぶようになった。
「そうそう、ホントに毎日そう言ってたのに、いつの間にか言わなくなったのよね」
母は懐かしそうに笑ってそう言った。
何が原因でそうなったのかを思い出せないほど昔の、私自身も忘れていたことを、尚史が覚えているのには本当に驚いた。
もしかして尚史が昔からずっと私を好きだったのも、あんなめちゃくちゃななりゆきで私と結婚したのも、子どもの頃に私が尚史に『大きくなったらモモをお嫁さんにする』という妙な錯覚を植え付けてしまったからなのでは?
「まさか……そんな小さい頃の口約束をずっと覚えてたから私と結婚したとか、言わないよね?」
「言わんな。ガキの頃の口約束なんか無効だってことくらいわかってるし」
「じゃあなんで?」
「……それは帰ってから話す」
さすがに両親の前で話すのは恥ずかしいのか、尚史は歯切れの悪い口調でそう言った。
気にはなるけど、私も両親の前でそんな話をするのはちょっと恥ずかしい。
大人になった今だから、今夜は二人でゆっくりお酒でも飲みながら、懐かしい昔話をしてみようか。
「そうそう、ホントに毎日そう言ってたのに、いつの間にか言わなくなったのよね」
母は懐かしそうに笑ってそう言った。
何が原因でそうなったのかを思い出せないほど昔の、私自身も忘れていたことを、尚史が覚えているのには本当に驚いた。
もしかして尚史が昔からずっと私を好きだったのも、あんなめちゃくちゃななりゆきで私と結婚したのも、子どもの頃に私が尚史に『大きくなったらモモをお嫁さんにする』という妙な錯覚を植え付けてしまったからなのでは?
「まさか……そんな小さい頃の口約束をずっと覚えてたから私と結婚したとか、言わないよね?」
「言わんな。ガキの頃の口約束なんか無効だってことくらいわかってるし」
「じゃあなんで?」
「……それは帰ってから話す」
さすがに両親の前で話すのは恥ずかしいのか、尚史は歯切れの悪い口調でそう言った。
気にはなるけど、私も両親の前でそんな話をするのはちょっと恥ずかしい。
大人になった今だから、今夜は二人でゆっくりお酒でも飲みながら、懐かしい昔話をしてみようか。