雨上がりの恋
でも、頼人にはそれが面白くなかったのだろう。

「はぁ?何庇ってんの?」

と、不機嫌な声を出す。

「庇ってるわけじゃない。ただ、本当のことを言っただけ。」

そう言った私を横目にため息を吐いた頼人は「まぁ、いいや。」と言うと、気を取り直す様に話題を変えた。

「美優はさ、今まで自分から好きになった男に告白した事はねぇの?」

ドキッ!

その言葉に心臓が飛び跳ねた。

そんな事を聞くってことは、やっぱり覚えてないって事なのだろうか。

頼人の表情を見ても、いつもと変わったところは見えなかった。

覚えられてても嫌なのに、完全に忘れられている事に対しても心のどこかで虚しさを感じているもう一人の私がいた。
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