どうしても、キミに言えなくて。
第1章
生きる意味


私は、生きる意味がわからない。

生まれつき心臓が弱い私は、やりたいこともできなかった。

私の余命は、半年しかない。

「昨日の見た?」

「ヤバいよね」

「宿題やらなきゃ!」

いつも通りの教室。私もいつも通り、一人で過ごす。

「ただいま」

「お帰り。大丈夫?」

「えぇ、大丈夫よ」

「明日は体育あるんですって?」

「…うん」

「明日、学校休む?」

「ううん、行くよ」

「無理だけはしないでね」

「うん」

「はやく寝なさい」

「…はい、おやすみなさい」

バタンッ

私は、私の居場所がない。
息ができない。落ち着く場所なんてない。

「今日の見学は…五十嵐華(いがらしはな)だけだな」

「また、見学?」

「サボりじゃない?」

「……」

何を言われても大丈夫。なれてるから。

「五十嵐、記録よろしくな!」

「…はい」

「………」

ガヤガヤ

体育が終わると、本当…騒がしいな… 。
本でも読んでよう。

パラッ

この本は、恋愛の本。
恋がしてみたいけど、するのが怖い。
死ぬ時、彼は…きっと、辛い思いをするから。

「…さん!…らしさん!五十嵐さん!」

ビクッ

「…!?」

バッ

「…!…誰?」

ハッ

しまった!!つい、言ってしまった!
…同じクラスの人?
「…俺のこと知らないんだ。」

「?はい?」

見たこと、ないな…。いや、あるのか?わからないや。

「美崎大気(みさきたいき)だよ!」

ハッ

美崎大気って、学年で1番モテてて、あのチャラ男の!
おんなじクラスだったんだ…

「何か用ですか?」

「一緒にお昼食べない?」

「無理です」

「即答かよ!さすがにショックだわ!」

?だって、本当に嫌なんだもん。

「外行くの?」

「…どこだっていいでしょう?」

「ふぅーん!俺も行こう!」

「却下します!」

「お願い!お願い!お願い!」

「…!」

コソコソ

「あの子、めっちゃ調子のってんじゃん!」

「大気のお願い却下するなんて、最低!」

「……」

フイッ

私を嫌いたきゃ、嫌えばいい。
私も嫌うから。

「…好きにすれば」

コツコツ

「…!ありがと!!!!」

「…別に…」

何で、こうなんだろう…。
変わりたいのに変われない。辛いな…。

「いつも、何読んでるの?」

「…恋愛もの」

「へぇー、以外!」

「だいたいの人はそう言うもの。なれてるから」

「何で、体育見学なの?」

「………」

「何で???」

「…言わない。面倒だし」

「じゃあ…」

「何で私に話しかけたの?」

「えっ?」

「あなたの周りには、たくさん人がいるじゃない。なのに!何で…」

「気になってるから」

「っ!?」

「ずっと…見てきたから」

「…それが恋なら、無理だよ。私、付き合わないから」

「どうして?」

「…傷つくから。ただ、それだけだよ。もう、行くね。」

「…!また、話そうね!」

「…?…気が向いたらね…」

「やった!」

ドキドキ

こんなのはじめて…。
こんなに胸がドキドキ言ってる。病気?
なんだろう…この胸のドキドキは…。
それから毎日、彼は私に話しかけてきた。
ずっと…ずっと、ずっと。
私がいなくなる、その日まで…
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