どうしても、キミに言えなくて。
未練がましい私達

『好きって言ったら、迷惑?』

『好きだ!』

海斗君に告白されるなんて…思っていなかった。
彼は…私なんかといたら…ダメになる。
海斗君がクラスに馴染めるよう頑張っているのに夢中だった私は…病気のことも、彼氏だった大気君ですら、忘れていたのに…。
ううん。忘れられてたんだ。必死過ぎて…。
だから…キミがそう言った瞬間、病気のことが頭から離れなくなった。

「付き合ってほしい!」

ドクン

言わないでほしかった。その…一言だけは…。
私を…苦しめるものだから…。

「元彼のこともあるだろうけど…」

やめて…?

「俺を…男として見てほしい!」

それ以上…私を…苦しめないで!

「今、返事がほしいわけじゃない。いつでもいい。待ってる。…先、いくね」

「……」

何で…?何で、私なの?

「…っ!」

ポロポロポロ

「…ひっ、うっ…」

もう…恋なんて…したくないのに…っ。
どうして、私を好きになるの?
何でよ…っ!何で!?
誰か…教えてよ!

ガクンッ

「教えてよ…誰でもいいから…」

恋の意味を…っ!

カタンッ

「華…」

ビクッ

この声…

『華!』

いつも…私の名前を呼んでいた…

「美崎君…」

美崎大気君しかいない。

「ごめん、聞いちゃった。」

「…そう…」

ぎゅっ

もう…

「もう…どうしたらいいのかわからない」

「?」

「何で、私なんか…好きになるの?どうせすぐ…死んじゃうのに…」

「華、それはっ!」

「もう…しょうがないもんね。何もかも失って…」

そう…。
恋も、馴染ませてあげたくて頑張った男の子も…好きって言うので…何もかも失った…。
好きは…悪魔だ…。

「…恋なんて…しなければよかった。」

ポロ

「恋なんてしたかったら…こんなに…傷つかないで…すんだのに…」

「…華」

「ねぇ、みっ…大気君」

「…!?」

「ごめんね…私なんかと恋して」

「…っ?」

もう…何もかも…わからない。
何をしたらいいのか。何をしたらいけないのか。
全てが、わからない。

「恋って…怖いね。」

悪魔だ…。人を苦しめる…悪魔。

「…大気君…私…もう、無理かもしれない。もう、疲れちゃったもん。」

「華…?どういう…」

「…死んでも…いい?」

「…っ!?」

パッ

生きる意味をなくした私は…生きる価値もない。
だから…死ぬ。

「さようなら…大気君」

バッ

「華…っ!!!!!」



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