どうしても、キミに言えなくて。
わからない

……あの人が忘れられない。
あの人の…悲しそうで傷ついた顔が…。
どうしてあんな顔するの?

「華…」

「…お母さん!」

「元気そうでよかった」

「バリバリ元気だよ!」

「そう…」

お母さんの前では、笑ってなきゃ!

「リンゴ…皮剥くね」

「うん、ありがとう!」

カチャン

「……」

今…あの人は何やってるのかな?

「ねぇ…お母さん」

「何?」

「…学校、もう行ったらダメだよね」

「…えぇ。あなたの体は…もう持たないから」

「そう…だよね…」

カタン

「はい、できたよ」

「ありがとう」

シャリ

「美味しい!!!」

リンゴって不思議な味がするな……。
甘いのに何個食べても飽きない。
リンゴ…美味しい。

サァァァ…

「……。」

鳥は…自由でいいな…。
うらやましいよ……。
私も、飛んでいきたいな……。

「じゃあ、また来るから」

「うん、ありがとう!」

パタン

「……」

ふっ

お母さんがいなくなると私は、笑うのをやめて…
暗くなる。
笑うのも辛い。学校に行きたい。
病気にさえならなければ…自由になれたのかな?
生まれ変わりたい。死んだら…。
死んだら…病気にはならないで、健康な体で生まれたい。
それしか望まないから。
私が死んだら…お母さん泣くよね。
お母さんを…悲しませたくない。
だけど…死んでしまう。
ごめんね…お母さん。
美崎君、あなたにもう一回会いたい。


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