どうしても、キミに言えなくて。
旅立って行ったキミに


ー大気sideー
華が笑っていた。
ずっと…ずっとずっと…。
まぶしいくらい。太陽みたいに輝いていた。

パチッ

「ん…」

よく寝た…。あれ…?

「華…?」

トイレかな?
ふっと下を見ると…

「…っ!?華!!」

そこには…愛しい彼女がいた。

「華…っ!どうした、大丈夫か?」

口のところに手を近づけた。

「っ!?」

息…してない!?
それからのことは覚えていなかった。

「…大気君」

「華のお母さん…」

「大丈夫?」

「俺がそばにいたのに…すみません!」

守るって決めたのに…守れなかった。
そばにいたのに…!

「それは違うわ」

「えっ?」

「発作なんて起きなかった。いや…起きてたのかもしれないけど…。華、ちょっとは意識があったのよ」

「えっ…」

「ナースコールを押さなかった。押してたら、今はまだ生きていたのかもしれないけど…。押さなかった理由はきっと…」

「……?」

「自分がもう生きられないってわかっていたから…最後に…やりたいことをやったのかもしれないわね」

ドクン…

やりたいこと?

「……大気君。華のそばにいてくれて本当にありがとう」

「いえ!俺は…華が好きだったから…」

「うん。華…幸せだったと思う」

「はい…」

「また…何かあったら連絡するね」

「はい…」

やりたかったことってなんだ?
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