未来の約束
記憶の渦にのみ込まれた、想い
「おい」

「え?」


そう言えば、浩太の部屋に来てたんだっけ?


「どうした?」

「ごめん。ちょっと考え事してた」

「最近多くね?」


不機嫌そうな顔をする浩太に、苦笑いを浮かべる。


「明日、久しぶり実家に帰るから」


昨日から、会社は夏季休暇が始まった。


「久しぶりって、毎年帰ってねぇのか?」

「めんどくさくて。そう言う浩太は、帰ってるの?」

「まぁ、盆と正月くらいは。顔出せって、うるせぇし」


それが、普通だよね。

「帰ってこい」と言われた事もなければ、近年連絡すら取り合っていない。


「ねぇ。どんな家族?」

「どんなって、普通だよ」


その普通が、あたしは知りたいんだ。

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