未来の約束
別れる気がないのに、美和のいない世界で生きる覚悟ってなんだ。

俺は、この男に何を試されてるんだ?


「君は、真っ直ぐすぎる。まるで、昔の自分を見てるみたいだ」


俺を映しながら、遠くを見つめる男に変な不安を覚えた。


「美和が突き放せないのが、よくわかる」

「どういう意味ですか?」

「君に話したら、もっと俺は美和に嫌われるんだろうな」


男は、盛大なため息を漏らす。


「これは、俺の独り言だから聞き流してくれ」


そう言うと、男は独り言を始めた。


「美和には、18、19以前の記憶がなかったんだ。でも最近、その記憶が呼び起こされた。もちろん、君の記憶も」


美和に対して、違和感はあった。

でも思い出したくないなら、それでも良かった。

また始めから、始めれば良いと思っていたから・・・

< 133 / 189 >

この作品をシェア

pagetop