未来の約束
「美和が19の時に病気がわかり、手術をしてる。だから、手術以前の記憶が消えたんだ」


あの時、美和は病気に犯されていた。

だから、一方的に俺のことを突き放したのか?

複雑に絡まっていた糸が、ほどけていく。


「でも、美和は生きてる。それって、病気に勝ったってことじゃ・・・」

「確かに、病気には勝った。だが、手術からの10年は再発の恐れがあると言われている。だからこの10年、毎月欠かさず、美和は検査のために病院に通っていた」


だから毎月仕事を休んでたのか。


「このまま何もなければ、それも来月で終わりだ。なのに、美和は今日の検診に来なかった。過去を思い出したことで、美和の気持ちが切れたのかもしれない」

「俺の、せいですか?」

「かもしれない。でも、それだけ君の存在が、美和にとっては大きいってことだと思う」


喜んで、良いのだろうか?

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