未来の約束
「でも、だからこそ聞いたんだ。美和のいない未来を生きる覚悟があるか。その覚悟がなければ、美和との時間は苦い過去になるだけだから」


そんな覚悟、俺にできるだろうか?


「それに覚悟がなきゃ、きっと君は美和の隣にはいられない。美和のことだ。きっと、君のことを切り捨てる。君のことを、縛りたくないから」

「どうしてですか?」

「死んだ女を愛し続けるバカな男を、美和は間近で見てるから」


フッと、男は自嘲的な笑みを溢した。


「後悔、してるんですか?」

「いや。昔も今も、俺は幸せだよ。美香が最期に愛した男が、自分だから」


迷いなく言い切った男が、とても羨ましく思った。

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