未来の約束
そんな俺の努力が実り、「よく、来ますよね?」と美和に声を掛けられた。

それから会えば挨拶を交わすようになり、次第に会話をするようになった。

今思えば、柄にもなく健気なことをしていたと思う。


「そんなお前に興味が湧いた。だから偶然を装って、近づいた。知らなかっただろ?」


先輩たちみたいに突き放されないよう、徐々に距離を縮めて、美和の気を引くためにあの手この手を考えていたなんて、当時の俺にはカッコ悪くて言えなかった。

美和に告白されて、付き合うようになって、俺がどれだけ美和を好きだったかなんて、きっと一生美和にはわからない。


「・・・知らなかった」

「だろうな」


俺も、話すつもりなんて更々なかった。

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