未来の約束
「悪いが、来月はあっちの病院に出向いてくれないか?」

「別に、あたしは構わないけど。でも、珍しいね」


今まで、毎月必ず来てたのに・・・


「わりぃな。学会やオペが続いててな」

「そう。なら、今日は真っ直ぐ帰るの?」

「いや。来月来られない分、美香に会ってく。お前も暇だろ?付き合え」


予定があるわけじゃないけど、決して暇ではない。

色々、やることはある。


「車で待ってろ」


鍵を渡され、結局言い返す言葉も見つからず、樋口に言われるがまま、駐車場まで来てしまった。

ピピッと車の鍵を開け、ドアへと手を伸ばす。

・・・あれ?

自分の手なのに、何かが変だ。

ドアを開けることが中々できない。

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