未来の約束
目の前に手を引き寄せ、グー、パーっと手を開いたり閉じたりする。

気のせい?

再びドアへと手を伸ばし、ドアを開けた。

気のせい、だよね?

悪い方へと思考が向かおうとした時、ちょうど良く樋口がやってくる。

おかげで、違う方へと意識が向かう。


「こんな風にお前と出掛けるのも、今日が最後になるかもしれないんだな」


走り出した車内で、樋口がそんなことを口にする。


「まだわかんないじゃん。でも仮に樋口から卒業できたとしても、たまには付き合ってあげても良いよ。可哀想な樋口のために」

「お前なぁ。たまには、可愛いこと言えねぇわけ?」


呆れたような視線を、樋口はチラッとこちらに向ける。

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