未来の約束
田丸が来てから、気付けば1週間が過ぎていた。

飲み込みは早いし、安心して仕事を任せられる。

こりゃ、本当に異動も覚悟しなきゃな。


「あの、すみません。確認してもらっても良いですか?」


書類を手に、田丸がやってくる。

その書類を受け取ろうと、手を伸ばそうとしたが、体がうまく動かない。


「廣木さん?」

「・・・ごめん。それ、花音に回して」


田丸は不信そうにこちらを見つめていたが、今はそれどころではない。

電流でも流れているかのように、ピリピリと小さな痛みに襲われる。

まさか、ね。

荒々しく鞄の中からポーチを取り出し、急いで席を立つ。

お手洗いに駆け込み、いつもとは違う薬を体に流し込んだ。

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