未来の約束
「どうした?」

「いえ。すごく、美味しいです」


小さな笑みを浮かべ、あたしは再び手を進める。

あたし好みで、とても美味しいのに・・・

満たされるどころか、モヤモヤと名も付けられない感情が溢れだす。

それでも何とか完食し、店を後にした。

「また来てね」と宇野に言われ、社交辞令で「また」と言ったものの、自分からここに来ることはないと思った。

こんな風に気が滅入るなら、なるべく関わりたくないのが本音だ。

・・・ここ、どこ?

気付けば、地下の駐車場に車が止められていた。


「降りねぇの?」


ドアを明け、桐島は今にも車を降りようとしている。

そんな桐島に促されるように、あたしも車から降りた。

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