未来の約束
ちゃんとわかってはいたが、この時のあたしは自分の弱さに負けたんだ。

儚く脆い、自分の命の消費期限から目を反らしたくて・・・

瞳を閉じ、すがるように桐島の腕を掴む。

それを同意だと受け取った桐島は、小さな笑みを漏らす。

そして次第に行為は深くなり、その日・・・

あたし達は、体を重ねた。

人間なんて、愚かな生き物で・・・

一度認めてしまうと、欲求には勝てない。

むしろ、もっと・もっと。とその先を求めてしまう。

求めれば求めるほど、関係が深く複雑に交差していくというのに・・・

それでも久々に感じた人の温もりは、欠陥だらけのあたしの心を癒してくれた。

それと同時に、後ろめたい気持ちも募った。

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