世界No.1の総長と一輪の花



「行こっか。そう言えば……バイク…なんだけど…大丈夫?」


……バイク?



あまり考えずに私は頷いた。




「顔は隠しておいて」




と言ってフードを被せられると、




「よいしょ」と私を抱きかかえた。



「え!?あ、あの…!」



これって………




いわゆるお姫様抱っこっていうやつだよね…?




あっという間にバイクが止まっているところまで来た。




大きな赤と黒のバイク。




…凄く綺麗……




「後ろに跨って」



指示通りに後ろに跨るとフードをはずされて、今度はヘルメットを被せられた。



「スピード出さないようにするけど…しっかりつかまってて」



男もバイクに乗り、エンジンをかける。



……つかまってて?……どこに?




「ここをこう」



私の手をとって、男の腹部あたりに手を置かれた。



「両手で」



そう言われ、もう片方の手も男の腹部あたりに手を回した。



「行くよ」



走り出すバイク。




思わず思いっきり抱きつく。そうでもしなきゃ落ちてしまう気がする…




さっきよりも小降りになった雪。だけどまだ寒い……



っていうか……この男の人……



…ヘルメット付けてない………私に貸したせいだけど…




万が一事故をおこしたら……?





なんて考えると怖くなった




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