世界No.1の総長と一輪の花




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京子の家に泊まって、朝方高層マンションに帰ったけど詩優はいなかった。


もしかしたら…もしかしなくても雅さんの家に泊まったのだろうか……


重い足取りで学校に向かった。学校にも詩優は来ていないらしい…



今日は雨。そのせいもあって気分が晴れない。



「妃芽乃さんの髪、綺麗だね」


私の髪をさらっと手ですくう八王子くん。普通に触るあたりが女の子の扱いに慣れてそうだ…


しかも私の命を狙ってる危険な人だし…



「……八王子くんって…何で私なの…」



この世界にはたくさん人間がいるでしょ?その中で私なんかの命を狙う理由がさっぱりわからない。



「んー。僕好みだから」



にこりと笑う目の前の男。やっぱり危険人物すぎて近づきたくない…



…好みだから殺したいと思うの?



「妃芽乃さんって好きな人いるの?気になる人とか」



八王子くんの言葉に思わずガタッと席を立ってしまった。しかも授業中なのに……





「……す、すみません。気分が悪いので保健室に行ってきます…」




クラス中が私に注目していて恥ずかしくて下を向いてそう言うと、すぐに廊下に出た。早歩きで保健室に向かう。















"好きな人"と八王子くんに言われた時に真っ先に出てきたのは詩優の顔…






もしかしたら私は……
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