世界No.1の総長と一輪の花
「……わかったから……傷見せて」
ブラウスのボタンをゆっくりはずしていく花莉。俺はガーゼを消毒液で濡らして、隣に腰を下ろした。
ブラウスのボタンを全部はずして、キャミソールを捲り上げて見えた傷はやっぱり痛そうだ…
あの家に帰すべきじゃなかった。帰ってしまっても無理矢理連れ戻せば良かったんだ…そう後悔してももう遅い。
「…痛かったら言って」
消毒液をつけたガーゼを傷口に当てると、花莉は少し顔を歪めた。
傷口全体を消毒してから細い体に包帯を巻いた。そこでちらりと見えたのは胸元の赤い痕。
俺は好きな女の子に痕までつけられて許せるわけねぇから消毒液で濡らしたガーゼで拭いた。その痕がとれるわけじゃねぇけど…
「……キス……して……」
小さな声が耳に届いた。ぽろぽろ涙をこぼして小さく震える女の子。
「……わ…たし……他の人とキスした………正確にはされた……だけど……詩優としかキスしたくない…のに…」
「…さっきのやつにされたの?」
ふるふると首を横に振る花莉。
「…学校の人………」
……やっぱり一瞬でも花莉と離れるべきじゃなかった…
俺は花莉の顔のすぐ横に手をついて、顔をそっと近づける。涙目の花莉と目が合って、ひとつ疑問に思ったことを口にした。
「…何で俺としかキスしたくないの?」
「……………………………詩優が好きだから……」
小さな声。でも確かに花莉はそう言ったんだ。