世界No.1の総長と一輪の花
「妃芽も、好きなの選ばないと明日葉に全部食べられる」
竜二さんが優しい目で私を見つめる。
「……こんなに買ったんですか…?」
疑問に思ったことを口にしてみた。これだけの数を買ったら一体いくらになるのだろうか…
「色んなやつからの差し入れだ。妃芽は気にしなくていい」
色んなやつ?
言葉を少し濁されたような気がするけど、私は「じゃあ…」とメロンパンをいただいた。
「ひめちゃんみたいな子ってメロンパン似合うよね~」
…え?
メロンパンが似合う?それは一体褒め言葉なのだろうか…
「小さくて可愛い女の子にはメロンパンの方が大きく見えて可愛いってこと!」
首を傾げた私に倫也はそう説明してくれるけど、余計わからない。
「確かに」
京子が納得して頷いて、詩優もうんうん頷いている。
……メロンパンの方が大きく見えるって…
そんなことないのに……
そもそも私は可愛い女の子でもない。
…全部間違ってるよ、倫也……
「いただきます」
そう小さな声で言ってからメロンパンを頬張った。久しぶりにたべたメロンパンはとても甘くて美味しくて、思わず頬が緩む。
「小動物みたいで可愛い」
隣に座る詩優にほっぺたを指でつんつんされた。
「はいそこイチャつかないー」
倫也がおにぎりを食べながら「イエローカード!」と私たちを指さす。
…サッカーの試合?イエローカードだったらあと1枚で退場…?