世界No.1の総長と一輪の花
手を広げる詩優に抱きつくことはせず、そっと手を握った。
「はい、捕まえた」
詩優は私が握った手とは反対側の手で私を抱き寄せる。一瞬で詩優の大きな体にすっぽりとおさまってしまった。
……!!!
「俺、お前が心配になるわ」
「ひ、ひどい!!!
前に溶かしたアイスの代わりに新しいの買ってくれると思ったから期待しただけなのに…!!そもそも詩優は知らない人じゃないもん!!」
詩優の胸を押して、抵抗を試みるけど…ビクともしない。
「警戒心持った方がいいと思うけど。隙がありすぎるから」
「……わかった!警戒するから…!離れて……っ!」
今ここには詩優と二人きりじゃない。車の中。康さんだっているのに…
「康、コンビニ寄って」
「わかりました」
平然としている詩優。少しは人前でくっつくのを恥ずかしいと思って欲しい…
詩優はいつも余裕がありすぎなんだ。
「……バカ…」
小さく呟けば詩優がふっ、と笑う声が聞こえた。頭を撫でられれば気持ちよくて、それ以上何も抵抗しなかった。
コンビニに着くまでずっと詩優の大きな体におさまっていた私。